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進化や生物の多様性って本当に面白いですね。いろんな生き物がいて、いろんなことができて。 でも、ついうっかりこれを忘れてしまう。特に医学系で動物を使って疾患モデルと称して研究していると、どうしてもヒトと使っている動物の共通点だけを強調 して考えるので、頭っから、「ヒトと同じで、疾患の治療に役立つ!」と堂々と謳ってしまう(笑)、特に科学助成金申請書類中なんかでは。もちろん、ヒトと 共通の部分に絞って研究さえすれば、医療に役立てる重要な情報が多く得られます。1980年代、基本転写調節因子の働きの研究で、ヒトもコウボもハエもみ んな同じところがあるというのを見て本当に感動を受けました。でもコレって、実際には病気を理解するためには、健常に働いているイキモノの体のつくりやし くみがどうなっているかを最初に理解することが必要で、ふと気がつくとその動物固有の現象を追っていることになってしまいます。もっとも逆に「進化ってす ごい!」という感動とともにです。 計画細胞死の分野では、線虫の遺伝学が、今の「単BH3タンパク質(EGL1)→×細胞死抑制性Bcl-2ファミリー(CED9)→×カスパーゼ活性化因 子(CED4)→カスパーゼ(CED4)」の情報伝達経路の概念の確立に中心的な役割を果たしました。自分自身もその中のい くつかの仕事にかかわりました。この線虫での細胞死の調節の基本はこれらの因子が互いに直接結合して情報経路上の次の因子のはたらきを調節するこ と。このことがわかったときには「あ あ、これでアポトーシスのすべてがわかった」と早合点したものです。ところが、その後、ヒトではミトコンドリアから流れ出るチトクロームcが Blc-2ファミリーとCED4のホモログであるApaf-1との間に介在して、これがアポトーシスの調節にたいへん重要であることがわかってきました。 実際、自分自身の手で追 試に近いようなものをやってみて、「ああ本当だ、線虫とヒトは違う!」と感銘を受けたものです。このときはまあ線虫だからしょうがないかな(意味 不明)、と思いました。ショウジョウバエにもApaf -1のホモログがあります。これはもう構造的にも完全にヒトのApaf-1そっくりです。ところが、未だ、このハエのApaf-1がチトクローム cで制御されているという直接的証拠が報告されていません。ひょっとしたら、ハエのApaf-1はチトクロームc以外を認識する?このときも、まあ、ハエ だからしょうがないかな(汗)と思いました。動物モデルに懲り始めたのはゼブラフイッシュからです。ゼブラフィシュのASC の介する情報伝達経路を解析したところ、ヒトのcaspase-1とそのホモログCaspyでは構造が違う!それに対するASCの結合も頭(N) としっぽ(C)が、反対に結合する!信じられない。ゼブラフィッシュって同じ脊椎動物なのに・・・。Caspy のノックダウンをしてみると、caspase-1欠損マウスでは見られない軟骨形成に異常が起きます。caspase-1やASCは炎症で大切な IL-1βを前駆体を切断して作るのに重要な役割を果たしているといわれているのですが、よくゼブラフイッシュのIL-1βの構造を見ると、なんと caspase-1切断部位の配列がない!さらにニワトリのIL-1βでもこれは認められません。に、にわとりもーっ!「で、で、でも所詮、線虫、ハエ、 魚、鳥だからなあ。やっぱり欠損マウスの解析が一番」と甘ーくこのときも見ていました。Nod2のリガンドMDPは免疫刺激物質として知られているのです が、これでヒトの細胞を刺激するとNF -kB活性化がおきて、サイトカインやキモカインの分泌が起きます。ところが、マウスの細胞を同じ濃度のMDPで刺激してもほとんど応答しませ ん。「これは生理的か?」と思える100〜1000倍の濃度がばーっと入れるか、他 の刺激といっしょに入れて初めて応答します。マウスとヒトでこんなに応答性が違うものか・・・。さらに、ASCの阻害因子パイリンの変異は家族性 地中海熱(FMF)を引き起こしますが、マウスのPyrinにはヒトのC末端側にあるドメインがありません。しかも、その場所にFMFで頻繁に認められる 変異が存在するんです。こりゃこりゃ。マウスもヒトとこんなに違うのか・・・ と、思っていたところ、衝撃の論文がっ!!クローン病と同じ変異をもつマウスの細胞をMDPで刺激するともっ とNF-kB活性化されるという報告が出ました。ヒトのクローン病患者さんからの細胞ではこのようなことはおきず、逆にMDP やその関連物質に応答しません。まあマウスのコンストラクトがまともかどうか疑わしいところもありますが、もしも本当だとするとマウスはヒトのク ローン病疾患モデルに不適切となってしまいます。いやあ、本当かなあ・・・この分野ではおそろしく影響力の強い研究室からの論文なので、誰かこのグループ からマウスをもらって、再試とウェスタンブロット解析を行ってもらいたいところです。もしも、この論文が本当だとすると内容は「マウス学」的、つまりマウ スだけのものである可能性があります。ああ人類は何度おなじ過ちを繰り返せばすむのでしょう。自分のことは棚にあげて、訴えるものであります。 (2005年2月) |
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ボブ・ホロビッツ博士にノーベル賞が授与されました。これは彼個人はもちろん、お師匠・お弟子さん、アポトーシスや線虫に携わる者、
彼を中心に歩む学会への社会の評価を向上させるものとして大いに歓迎されるものです。表彰はかくあるべきものですね。
(2002年10月) |
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米国同時大規模テロ事件・・・多くの方の命が一瞬にして失われてしまいました。これを祝福するパレスチナの人々の映像をみると悲しみ
と怒りを通り越して、ではどうしたらいいものか、しばらく考え込んでしまいます。のっとり航空機による攻撃という未曾有の事態を受けて、いままで多くのエ
キサイテイングな情報を放ってきたCold
Spring Harborのアポトーシス・ミーティングが延期になりました。失われた人命の多さに比べればたいしたことはないですが、やはりせ
つなさを感じます。ぜひ、テロや戦争のない社会を実現してほしいものです。また、ウィルスやその他の手法を用いたサイバーテロも後をたちません。20世紀
の後半から地域的紛争を超えたこの手の問題が拡大しつつあります。一部の主張を通すための強制行使に対して強く反対します。
(2001年9月) |
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ヒトの全遺伝子の構造が決定され、病気がどの遺伝子と密接に関係しているかというのが容易に調べれるようになってきました。Nod2
もこの恩恵を受けてクローン病の病因遺伝子であるらしいことが明らかにできました。ここで注目したいのは、一見正常な人でもクローン病と同じ変異を持って
いる方がいらっしゃり、特定の細菌LPSに刺激されなければ病気にならない可能性がでてきました。つまり、個人は異なる遺伝子DNAを持っていますが、あ
る遺伝子が原因で特定の条件・環境に置かれたときにのみ病気になる、そんな病気のひとつが今明らかになったわけです。同様のことが、ヘリコバクター・ピロ
リ(通称ピロリ菌)との関係が知られ、抗生物質による治療の可能なMALTについても言えます。菌による刺激がなければMALT関連遺伝子に変異があって
も活性化がない可能性が考えられます。おそらくこうした「条件つき」の病気の存在がどんどんと明らかになり、自分の遺伝子情報を知っていることでこれらの
病気にかかるのを避けることができるようになるものと推定されます。こうした成果は個人のヘテロジェネイティをゲノム規模で決めようとする一連のプロジェ
クトの正統性と必要性を裏付けるものであると考えております。一方でとりあえず特定の遺伝子を至急重点的に個人別に調べてデータベースを作成し、個人の治
療に役立てることも重要であると考えています。
(2001年5月) |
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ヒトの遺伝子がほとんど完璧に決まりました。遺伝子数はわずかに3万ぐらいと結論付けられました。漢和辞典に出ている漢字と同じぐら
いでは。それなら、汎用する漢字とその熟語(遺伝子の組み合わせ)ぐらい暗誦できますね。生命科学を目指す人で、昔代謝マップを全部覚えた人ならたやすい
こと。また、簡単な大腸菌、酵母、ショウジョウバエはもちろん、植物も第二言語を覚える感覚で覚えられますね。30億塩基の情報量って240M(メガじゃ
なくてエム)バイトしかないんです。圧縮かけなくても旧式CD-ROMにはいります。
(2001年2月) |
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Keystone Meetingへ行って来まし
た。今年は以前の報告が再評価される年でした。例えば、Avenが転写活性化因子だとわかったり、XIAPはApaf-1調節にあまりかかわらず、
SMACを除去してもそんなに効果がなかったと報告されたり。Caspase-8を除いたS100でもBidが壊れるけど、Caspase-3を除くと
Bidが切れないとか。Bax複合体はVDACに結合しないとか。なかでも、遺伝子欠損マウスの遺伝的な背景を変えると遺伝子欠損の影響がたいへん異なっ
ているということには驚きました。tBidが死受容体とミトコンドリアを繋げる、必須の因子とした話が数題続いたあとだけに会場のショックはすごいもので
した。
某Apaf-1発見者:「マウスって本当にApaf-1以外にCed4オーソログないよな」(不安げに) うーん、気持ちがわからんでもない。 Keystone Apoptosis Meetingでの報告
(2001年1月) |
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出版者のみなさん、既存ジャーナルのレビューシステムの研究とか、レビュアの公開や論文採用システムなどの新たなシステムを専門に研
究するジャーナル(仮称
Journal of Scientific Review System)を作ってもらえません? - 第1巻 1号 サンプル -
とりあえず、この雑誌のレビュア名は完全公開、記述言語は英語、On-lineのみとするってのはどうでしょう。私が図書担当者ならこ んなんあったらぜひほしいです。 (2000年12月) ◆ Reference インパクトファクターとは 何か by 山崎茂明 |
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今世紀も残るところわずかとなりました。自分たちの研究してきたアポトーシスにとって20世紀はどんな世紀だったのでしょうか。下図
はPubMedで"Apoptosis"とか"p53"などの単語を要旨に含む論文の割合の相対的推移を示したものです。「アポトーシス」は今年2000
年についに全論文の2%にも達しました。この数は「ホルモン」とほぼ同じぐらいのかずです。アポトーシスを冠する論文は1990年代になって急速に増え
て、1996年ごろにもっとも急激に伸びました。そして今年ほぼ分野は成熟しました。分子生物学の先駆分野を代表する単語「Promoter」を研究する
転写調節の分野が50%確立するまで10年ぐらい、さらに先駆の「ATPase」や「cAMP」の分野はもっとかかっていますが、「アポトーシス」や「癌
抑制遺伝子p53」ではわずかに5年でした。別の言い方をするとATPaseやcAMPを10年かかって研究していても、まだ分野が50%確立されていな
かったのに対して、近年勃興したアポートシスのようなフィールドは5年で、つまり大型グラント1.2〜2ラウンドの期間で50%成熟したことになります。
この分野の加速傾向から見ると10年後には新分野の成熟は1.5〜2ラウンドの大型グラント期間でほぼ終了すると予想されます。このことは1970年代に
cAMPやATPaseの研究を20才代後半ではじめても教授になるまで続けられたのですが、21世紀初頭では1ポジションが約1分野を仕上げる時間であ
り、2つ目のグラントが切れるころには、そのグラントで関連の新規分野を研究していることとなるとも考えられます。
(2000年12月) |
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Cell, Immunity, Mol. Cell, Neuronとすばらしい質の論文を次々と載せてきた元Cell
Pressのジャーナル。まさに我々分子生物学者の憧れの的で、Nature,
Scienceとちょっと違った印象のあるジャーナルでした。今は学術論文の質も絶対評価される時代となりました。研究者や研究機関の中にはジャーナル自
体のImpact
Factorをかなり重んじる方がいらっしゃり、Cellはその頂点に立つものでした。Cellに載った論文は間違っていても、次の論文で徹底的に検証す
る必要があります。ところが、最近これらの元Cell
Pressの出す論文の質に変化が現れました。Cellファンの私にはショックです。原因ははっきりしています。ぜひとも根本解決を!がんばれ!元
Cell
Pressのジャーナル!! (2000年10月)
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今まであまりに画期的で儲かりそうなのにもかかわらず、社会の基盤がなかったのでアイデアをしまっていたものがあります。
ヒトのゲノムDNA配列の決定がほぼ終わりました。今、生命科学は新たな段階を迎えていますが、これは情報学にとっても大きな転機なの です。遺伝子の配列がどんどん決定された1980-1990年代にかけてタンパク質の一次構造の相同性解析の技術が飛躍的に向上しました。その結果、はじ めキー配列が与えられればこれを元に相同性のある配列を発見し、これらをもとにドメイン構造やファミリータンパク質の共通性が求まります。もしも、ファミ リータンパク質の一つがなにかの受容体や転写調節因子で、結合因子との共結晶ができているならば、その配列から他のファミリータンパク質の結合相手や結合 DNA配列が予想できます。予想した結合相手をデーターベースで探し出し、これをさらにキーにファミリーを見つけてきます。 これらは生命情報学の基礎ですが、その中で使われるアルゴリズムは次世紀の一般的な情報学の基礎でもあるのです。私がこれに気がついた のはずいぶん前でちょうど擬似会話プログラム"Dancing with Waves"(1996)に簡易音声認識ルーチンをつけようとしたときです。 例えば、このプログラムは以下の応用が可能です。 まず、音声認識に使えます。今までの音声認識の最大の問題は、波形パターンの一致を見つけるアルゴリズムが極めて弱かったために、特定 の人やフレーズでのみ有効でした。ところが、PSI-BLASTのようにファミリー化された「似た」波形を求めるアルゴリズムなら、よりフレキシブルに音 声をできるのです。 次に、概念認識と言語認識です。同様の手法により、関連のある単語をファミリー化し、認識することができます。また、データーベースで 見つけた関連単語から、コンピュータは他の単語へのリンクを計算・作成し、これをキーに推論して最適の関連概念を作ることができます。ちょうど、共結晶の データで相手の形を推論するのと同じことができるのです。これなら、例え、入力者が「あのー」とか「ええと」を汎用しても、途中無関係な言葉や間違った言 い回しをしても(実際には結構多い!)正確に認識できるようになるのです。また、違った言い回しをしてもコンピュータが理解できます。これは音声入力に限 らず、スキャーナー入力についても同様のことが言えます。 とりあえずの課題はこの認識ルーチンの高速化にありますが、おそらくこれはマルチCPUにより安価に解決できるものと考えられます。 ちょうどサブプロセッサを用いた処理と同じ考えです。サブプロセッサをいっぱい作るようなものです。こうした発想を実現するソフトを多数作るには現在のス タンドアローンが基本となったOSではむずかしく、開発が急がれます(この点では社会的基盤ができてないですが、認識ルーチンを開発するなら今でしょ う)。 おそらく、この技術的困難を解決した会社はかなり豊かな会話やしっかりした判断のできるコンピュータを開発できるでしょう。基本的な部 分はホストで処理し、端末を小型化すれば、スタートレックのバッチのようなものも簡単にできるはずです。そして、これが自己思考型の、つまり演繹型思考の より得意なその次の、さらに次の世代のコンピュータと社会の基礎となると考えています。 ソフトハウスさん、儲かりまっせ。組みませんか? (2000年9月1日。本アイデアは知的所有権で保護されています。) |
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IAPに結合・阻害することでアポトーシスを促進するというSmac/Diablo。どの程度生理的に意味あるかははっきりしないも
のの、にわかに最近注目されています。そこで出た二つの論文。見てびっくりしました。図がそっくり!Srinivasula
et al. J. Biol. Chem.の図2・3とChai
et al. Natureの図3・4。得られたデータが似ているのはさておき、略図のプレゼンまでそっくり。Smac/Diabloの最初の論
文が7月7日に出て、「報告された配列を元にPCRでとった」発現プラスミドを用いた実験で8月18日にJ.Bio.Chem.がアクセプトというのもす
ごいです。競争の激しい分野ではたまにこういうことがおきます。
(2000年8月)
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ヒトのゲノムシーケンシングが済んで時代はポストゲノムの時代・・・その中で注目されているのがマイクロアレイ・DNAチップ。でも
これ本当に期待ほど有効なんでしょうか? 誰もが最初に思い浮かべるのは、疾病と関連して異常細胞と正常細胞の遺伝子発現パターンを比べてみるというものです。使っている研究者が多い分論文も多い のですが、インパクトの強いジャーナルを検索したところ、8月現在、たったの25報。で、Scienceなんかの内容を見ると・・・熟練した人が普通の Differential Hybridizationでやった方が安くて、早いんじゃないの?といいたくなる人もいるのでは。それと、私の考えている「わかる」というのとちょっと 定義が違うような・・・細胞が丸くなった、堅くなったのを別に言いまわしをしているだけのような。診断や根本治療の難しい疾病の対症療法を考えるとき重要 かも。また、今まで言われていた遺伝子のシグナル応答の大規模な追試という意味で 重要であると考えられます。 とりあえず、みんなが機械かチップを買うんじゃなくて、cDNAあれば安価にそうしたサービスをする会社や機関を気軽に利用できるシス
テムを作ることが重要ではないかと思います。
(2000年8月)
◆ 関連項目 分 子診断としてのマイクロアレイの価値 by Bustin SA, Dorudi S.(2002) |
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カスパーゼだけではなくNF-κBも調節因子の多量体化そして実行分子の近接によって活性化されるのではないかという仮
説を報告いたしました。
@トリガー分子は受容体の多量体化を誘導する。 以上はカスパーゼやNF-κB活性化だけではなく、他の情報伝達経路のもっとも初期の段階での反応開始の一般的なモデルとして提唱でき ると思います。もっとも実際の情報伝達系では、この活性化された上位実行分子により下位実行分子の活性化・または不活性化のカスケード式反応を要する過程 や小分子のセカンドメッセンジャーを利用する過程などが、実際に細胞で生理現象を引き起こすために必要であると考えています。はじめカスパーゼ8,9で酵 素近接活性化理論が提唱されたときには、両カスパーゼは下位カスパーゼや溶血系と同様にプロセシングによって活性化されるものと考えられました。なぜなら ば、活性化と自己のプロセシングがよくマッチしたからです。しかし、実際のところプロセシング段階が本当に両カスパーゼの活性化に必要であるかどうかは明 らかではありません。なぜなら、両カスパーゼはプロセシングされてもカスパーゼ3のようには活性が劇的に上がらないからです。このことは酵素近接活性化モ デルでは必ずしも実行分子の修飾を必要とするものでないことを示しています。一方、カスパーゼもIKKもアロステリック効果に乏しい酵素ですので、これら の近接による活性化が基質である自身の局所的濃縮によるものではないと考えられます。こうした点からリン酸化やプロセシングなどの特別な修飾の起きない、 しかもアロステリックな活性化が起きないような初期実行分子が関与する他の系でも一般的に近接活性化モデルが適用できる可能性があります。いや、修飾が起 きるほうを特殊、修飾を必ずしも必要としない方を一般と考えて近接活性化理論を考える必要があると考えています。 今後、上位実行分子の一般性近接活性化の機構を明らかにするには、 ■ 他の系での検証 パーティにおける重要性 【系の概要】 【解析】 ◆ 関連項目 カスパーゼの近接活性 化機構
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「アポトーシス時のDNA断片化調節因子DFF45がないとネズミは賢くなる」という画
期的な論文が出ました。我々アポトーシスを研究する者にとっては「本当にDFFはなんのために存在するのだろう」という疑問がまず浮かぶのです
が、それはさておいて、ふと思ったんですが、DFF45を欠く人間はもっと賢い?
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とにかく、今(2000年6月)、ガソリンが高い!私の住む米国ミシガン州アナーバーではついに2$/ガロン(約56円/リットル)
のガソリンスタンドまで出ました。OPECによる生産調整と需要の拡大のためのようですが、オイルショックを体験した私は「石油以外のもので代用できるも
のがあるんじゃないか」とふと考えてしまいます。1970年代と違うのはタンパク質工学が多いに進み、合成化学と組み合わせると、天然に大量に存在するセ
ルロースやその他の生物資源から代替製品を作ることが原理上そうたいへんではないように思われる点ではないでしょうか。石油の枯渇以前でも原油価格次第で
この点を再度検討始められます。企業の方、このへんのコスト計算を今一度やり直して、開発するときっと、儲かりまっせ。政府の方、特に日本は生命化学分野
の技術力は極めて優れている上、石油資源に乏しいので、研究推進の旗振り役になれるのではないでしょうか。石油代替に関する蛋白工学・生物資源調査・植物
分子生物学等などの生命科学分野にもっと助成することで将来の国の繁栄を!代替技術を確保しておかないとどうなるか、セレラの遺伝子情報問題なんかで懲り
たでしょう?出資もしないのに苦労して開発した会社に「技術は人類共通の資源だ」とまたまた宣言して株価を落とすなんて二度は許されないですよ。また、こ
れは石油代替製品にとどまらず、その流通と派生製品・周辺商品のあり方も研究する必要があるのではないかと思います。ガソリンに関しては代替燃料が既にあ
りますが、自動車メーカーも「ガソリン以外を使用した場合、保証をしない」といった態度を捨てて、「今度の新型は代替燃料でもOK」というようなものを
作ってほしいです。また、ナフサ中心の原材料のあり方も考え直す必要があるかもしれません。
○ 関連項目→熱耐性高等動物の全ゲノムをシーケンスしよう!儲かりまっせ おっと!6月17日通産省が生物工学技術による石油製品代替品開発の委託を来年度予算に盛り込むことを発表しました。デュポンやカーギ ルなどの先進巨人と50億円の予算で闘うそうです(^^;)。ちなみにデュポンの全研究開発費16億ド ル。頑張れ、日本、ヤマトダマシイを見せてやれ! |
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今やエコノの時代。再利用できるものは再利用して倹約するとともに地球に、環
境にやさしい研究者に。 なお、私はこんな再利用法を知っているという方はぜひご一報ください。
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という話を聞いたことがあります。今ならできます! 投稿するジャーナルを選ぶときに、まず考えることは、自分の論文がどのジャーナルの内容と同じレベル・分野かということです。次に、も しも同様のジャーナルが複数あったときは、どちらのジャーナルが通りやすいかと考えます。最後に、もしも通りやすさが同じならどちらが自分らの投稿に都合 がいいかと考えます。この第3点目に注目しました。 ジャーナルはインターネットの普及で大きく変わろうとしています。この変革にうまく乗ったジャーナルはそのポジションをあげることがで きると思います。オンラインジャーナルの時代では、投稿者や読者の利便性をより早く獲得するかで、この第3点目における有利性を獲得できます。 第1に 第2に 第3に学会誌についてです。 利便性を獲得したサイトは徐々にその地位とあげていきます。内容もより洗練されたものになります。ジャーナルも全く同じだと思います。
そのジャーナルに投稿すること自体で付加価値が出る、またはその学会に参加しているだけで付加価値が出る・・・一方、リーダーはより、検索や情報量等のよ
り利便性を得る・・・どうでしょうか。 |
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2000年問題(Y2K)が年末たいへん騒がれました。しかし、これといっても年始に何も起きなかったよう に記 憶しています。あれはなんだったんでしょうか。ところで、今年はPubMedが大幅更新される年です。NCBIのホームページによると3月から旧PubMedのサービスは停止され るみたいです。従って、PubMedにつながっているリンクを切りかえる必要があります。私のホームページはPubMedべったりなので、もしも リンクが途切れたらほとんど無用の長物となってしまいます。かなりの危機感を感じてHP保守作業を行いました。 ところが、私のもの以上にPubMedべったりのサイトがあります。on-lineジャーナルです。今や、引用文献を手で引くなんて人はほとんどいないと 思います。各代表的なジャーナルの現時点での対応はどうなっているでしょうか。2/11現在全て旧型です。
このままいけば、引用文献が調べられず論文が書けないという「2000年3月問題」が生じてしまいます。か なりの危機感を持っています。この不安をなくすためにジャーナルはぜひ「問題対応済宣言」をしてもらいたいです。さもなければ、3月前に大量のプ リントアウトしておくとか、2月中に論文を投稿するとか、研究者は対応に迫られることとなります。もっとも、Y2Kで数年分の食料を買いこんで困っている 人もいるとか・・・ことの推移にしばし注視する必要がありそうです。 なお以下の方法でリンクを変えられます。
ポストするデータ(「?」以降のキーワードなど)はそのままで大丈夫で した。したがって、MS Wordのマクロなどを使ってハイパーリンクの前半部分を置き換えるだけで大丈夫みたいです。なお、新型PubMedは旧型との互換性が乏しいが、多くの メリットのある
があり、これはマクロやプログラムによる置換がたいへんでした。新しいPubMedは1リンクに対する複数引用が容易にできて我々ホー
ムページ作者にたいへん便利です。
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「アポトーシスのキー的な分子Apaf-1がなくても5%のマウスは見た目正常」という画
期的な論文が出ました。我々アポトーシスを研究する者にとっては「Apaf-1にかわるアポトーシス誘導因子とはなんだろうか?」という疑問がま
ず浮かぶのですが、それはさておいて、驚くべきことに、apaf-1遺伝子を欠くマウスは普通のマウスよりも超アクティブで、3倍もよく動けるとのことです。 で、思ったのですが、人間にもApaf-1を欠くと3倍パワーアップできるのでは?うーん、SFの世界です。残念なことにオスは子供ができませんが、メス は正常に子供が生めるようです。
映画の主役兼敵役には新人の韓国系アメリカ人を起用したいです。ヒロインも新人ですが、ダイナミックなコがほしいですね。謎のCIA部
員にはベテランをぜひ入れたいです。研究所のシーンでは、Apaf-1の発見者たちや他のアジア系のアポトーシス研究者を端役として、ちらつかせたいです
ね。ちなみにシリーズ第2弾はインターネットに隠された例のファイルをネオナチのハッカーが見つけるところからはじまります。 |
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On-line投稿のやり方 論文の投稿も今やOn-lineの時代となりました。でもTIFFファイルしか受け付けないジャーナルの説明ってまわりくどいんですよね。 以下の方法でPDFの作成が簡単にできます。 1. Adobe Acrobat(Readerではない!),Photoshop(以上はミシガン大学医学部内では無
料ダウンロード可能)と高画像スキャナーを入手する 今のところ、これが最良だと思います。段階2でドローファイルであってイメージファイルでないのがミソ。 追記1: J.Biol.Chem.の場合、3の段階のPDFファイルをそのまま添付していてもアクセプトされました!
でも最終的にはEPSやTIFファイルがいるので、どっちみち4以降の処理が必要です。 J.Biol.Chem.の場合、
PowerPointファイルのまま添付しても、印刷されました!(後記)
なお、Iustratorで作ったEPSファイルはサイズが断然小さいようです。
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企業との共同研究などで守秘義務協定を結ぶことが多くなりました。ところが、守秘義務協定は相互で交わすことが重要なのであって、一方的に結ぶとたいへん 不利になります。(ちなみにミシガン大学の事務はこのあたりがたいへん敏感ですばやく処理してくれます。)先日、知り合いの奥さんが某メーカーのバイトを 辞めたのですが、そのとき、事業計画について守秘義務協定を結んで、それに対する報酬をとるか、それとも、報酬なしで退職するか、という選択を与えられま した。これはたいへん合理的だと感じました。なぜならば、守秘義務協定で不利益を被ったときには裁判によってそれを受け取る権利を主張できますが、この場 合、双方に負担がかかるからです。日本の研究者の皆さん、とくに退職される企業の研究者の皆さん、会社への忠誠で守秘義務を果たす時代は過ぎましたよ。ど うどうとこれに対する報酬を請求しましょう。 (1999年12月) 追記:中村修二博士に日亜化学工業が発明に応じた代償を研究者に払わなければならないという判決が出ました!日本の研究者に慶賀。日本 の企業 は今後開発のあり方について大きく見直す必要がありますね。(2004年1月) |
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- 学生時代、放射線同位元素(RI)を汎用した 時期がありました。放射線障害がたいへん気になりました。それまでは自分の手などマジマジ と見たことがなかったんですが、この時期、毎日、手をチェックしました。するとどうでしょう、RIを汎用した次の日には指の先が痛くなりました。また、長期的にはチューブを持つ指の皮が 剥け出しました。「こ、これはたいへんだ!」。RIを 使わなくなったとたん、手がきれいになりました。うーん、RIってこんなに有害なのか・・・。それからしばらくして、また同様の実験をすることがありまし た。ところが今度はぜんぜんなんともありませんでした。「おお、RIに免疫がついたぞ」 でも、なんかへん。そこで、前回と違うのはどこか、よーく考えてみました。あ、エッペンドルフチューブ(微量遠心管)が違う!以前はスクリュー式チューブを利用していたの に、今回は通常のもの。RIでは汚染に気を使うので、かなり神経質にチューブを開け閉めします。また、ふたもかなり強くしめてしまうので、開け閉めが指に とってかなりの物理的負担になっていたのです。うーん・・・では、じゃ、どうして以前は指があんなに荒れたのだろう・・・。そのときはわかりませんでし た。その後、RI汚染除去用の洗剤を使い切ってなくなっていたので、補充したとたん、いきなり手荒れが再発しました。そうなんです。RIを使うと手袋をし ていても気持ち悪いので、頻繁に手を洗う、しかも、よく落ちるようにとRI除去用洗剤で手を洗う・・・。それに気がついて以降、RIを扱っても手があれな くなったのはいうまでもありません。チャンチャン。 さて、最近、RIの健康検査が近づいて自分の手をまたマジマジと眺める機会がありました。すると、指の表面の一部がやや盛り上がって、堅くなっているので す。「つ、ついにRIから肉腫か!」良く見ると、左手の人差し指第二関節と、 右指の中指の第二関節と第三関節の二ヶ所が堅くコブ状になっているのです。「両手切断か」 かなり悲壮な発見でした。 しかし、数時間後にはこれが何かわかりました。左手のが「エッペン だこ」、右手のが「ピペット だこ」だったんです。左手は頻繁にエッペンドルフチューブのふたを開けるために知らないうちにタコができていたんで す。右手はピペットマン(オートピペット)を握るために自然にできたものです。研究者のみなさん、指にコブ状のものがあってもご安心ください。それ はきっとタコです。 なんか、職人さんになった気分でうれしかったです。「てやんでえ、こちとら宮大工でえ。けちなシゴトなんかできるけえ」みたいな感じで。と りあえず、女房には私が首なし死体で見つかっても同定できるように、この身体 的特徴を伝えておきました。 (1999年11月) |
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「こ、こやつ、なかなかやるな」 最近、とある研究室からリクエストしていたプラスミドを受け取りました。封筒を開けたとたん、思わず、うなりました。
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Cold Spring Harbor Meetingに行ってきました。3つのグループからショウジョウバエApaf-1が報告されました。そこで、はっとひらめきました。ショウジョウバエに あるなら、同じ甲殻類のカニに絶対にあるはずです。今こそアポトーシスの中心分子Apaf-1が結晶化できるのでは、と! 結晶化や酵素解析の時、最大の問題は熱安定性です。高温に耐える高等生物の酵素は熱耐性のはずです。好熱菌PS3の酵素の解析を近くで見ていたので思うん ですが、変異体タンパク質の解析や結晶化も容易でしょう。また、これは別にカニやApaf-1だけの話ではありません。耐熱高等生物の種名をもしも ご存知の方、教えてください。材料をお持ちの方、共同研究しましょう。いや、別に生きていなくてもいいです。DNAは他の生物で発 現させますから。また、企業の方、耐熱高等生物の全ゲノムを決定すると、医学的・工業的、その他諸々の応用が多様で本当に儲かると思いますよ。 (1999年10月) |
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日本から日本語の総説雑誌が届きました。その中で、日本のアポトーシスの第一人者が「新規タンパク質を過剰発現させ、細胞死誘導・抑制や相互作用の有無を 見るだけで雑誌に出すのはなげかわしい」という記事を見つけました。おもわず、うんうん、うなずきました。正論です。でも同時に問題も感じました。 私が思うに、新規タンパク質の発見は、大航海時代の新生物種発見競争に似ています。荒くれ船乗りとともに大海原(おおうなばら)を駆けて未開地に行き、動 物や植物を見つけてヨーロッパの学会に報告する・・・あれです。でも、なかにはカモノハシを鳥類と見間違う者もあったでしょう。チョウチンアンコウのオス を別種と報告したこともあったでしょう。なぜなら、始めはだれもそんな生物がいるとは想像しないからです。しかし、系統分類学や進化論などの考えは、こう した礎から構築されたと思います。また、チョウチンアンコウの場合に見るように最初の報告で、その生殖まで示すのはかなりムズカシかったと思います。新規 タンパク質の機能は生理的条件下で検討するのが一番だと思います。しかし、競争の激しい分野で、抗体を作ったり、ノックアウトマウスを作成したり一番始め の報告できるでしょうか。勝負するならいくつかできるでしょうが、かならず、しかるべき報告になる保証がありません。また、報告の重要性を考えてみましょ う。上記のように報告された新規タンパク質STAT,TNFRファミリー等がインパクトを与えなかったでしょうか。また、内在性ものを見ているからといっ て、本当に有意なのでしょうか?例えば結合性の検討なら本来KdとKiを求めるのが本来の姿では・・・でも最初の報告でなかなかできないです。それに最初 に発見し・応用を考えたもののみが特許等の知的所有権を主張できるのですが、報告が1日でも遅れるとこれらは失われます。ソフトウエアを書いていて思うん ですが、これからの時代は世界規模で研究者の知的所有物のことを考える必要があると思うんです。少なくとも、バイオインフォマティクスなどの異なるビジョ ンを許す寛容さが社会の原動力になると思うんです。うん。 (1999年10月) |
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タンパク質の三次構造データは論文報告後も一年間データを 非公開にできます。データを見られない研究者は研究で不利になるだけではなく、論文報告自体を検証する手段がありません。タンパク質の一次構造がすぐさま 開示されるのに対してあまりにも不自然です。ぜひ、改善してほしいです。でも、誰が、どうしてこの規則決めたんでしょう? (1998年9月) |
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最近、哺 乳類におけるクローニングが成功しました。これに対して猛烈な反対がありました。ヒトへの応用は特に反対を強く、規制する国も出てきました。しか し、このクローン化技術は不妊治療など、かなりの有用性が見込めます。従って、私はこの規制に強く抗議します。また、学問の自由という点からも規制に反対 します。クローン技術の安全性の判断は研究機関や学会に任せるべきです。 (1998年9月) ついにかなり包括的な禁止法案が提出されました。米国は宗教国だからなあ(2004年4月)
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論文を科学ジャーナルに投稿すると、必ずレビューがあるはずです。このレビュー制度はたいへん不透明で弊害が多いように思われます。通常、レビューアはそ の分野にもっとも詳しい人で、投稿者と直接繋がりのない人、つまり、競争相手となります。ときには競争相手は、報告の質に関わらず、意図的に論文を遅らせ ようとします。その手段として、レビューを遅延することがあります。私はジャーナルのレビュー日数もぜひ、タイトルと著者の次に示してほし いと考えています。逆に、一流ジャーナルの多くでも「これは審査されているのか」と思われるぐらい速い報告があります。質の高い論文なら納得いくのです が、そうでないものもあります。ぜひ公正であってほしいです。さらに、レビューアが審査論文のデータを利用して次の論文を書いた、という話をよく耳にしま す。インサイダー取引のようなものですが、これらを監視する制度の創設を切望します。また、制度自体、ディスクロージャーの対象にしてほしいものです。 (1998年9月) |
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サンタ○○○○の抗体はあまりにもひどすぎる。アポトーシス関連で使える抗体はまずない。注意しましょう。(1998年9月) Caspase-3の抗体の中には使えるものがあるそうです。使える抗体の情報がありましたらドシドシお寄せください。(1999年5月) |
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日本は若い人の独立性を削ぐ制度が多くあります。研究者、特に若い研究者の金銭的、人事的に独立を助ける土壌を作ってほ
しいです(ミシガン大学で驚いたこと参照)。次に、グラントの使い方にもっと自由度と裁量権を与えてほしいで
す。また、研究機関と研究者間の繋がりをもっとゆるやかにしたほうがいいと思います。さらに研究者がグループを組んでお金をとる方法を改めて、個人ベース
にすべきだと思います。最期に、公立研究機関にいる研究者でも個人が容易に知的所有権を取得したり、会社設立したり、共同研究したりすることを助成する制
度を創設する必要を感じます。 (1998年9月) [REFERENCE]
参照:ミシガン大学で驚いたこと 追伸:その後、日本も改善される傾向にあるようです。今後とももっと改善を進めてほしいです。(2000年11月) |
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現在の日本の初等教育の根本は学習指導要領と教科書検定にあるといえます。これにより均一な教育が実現でき、国民の教育
レベルは格段にあがりました。ところが、この一律な水準はいくつかの弊害を生んだため近年必須学習内容が減少する傾向にあります。これは科学にとって大き
な脅威だと思います。そこで、これらの文部省の指導範囲内を公立学校に限定し、私立学校については基本的に自由化してどうでしょうか。これにより多様な教
育、また競争が生まれます。同様に大学入試についても漢文や英語ができなければ数学者になれないような現実を産む制度を廃止したほうがいいと思います。国
語・社会の点がとれず科学者になれなかった天才が日本には少なからずいると思います。科学の前進に適した教育制度の創設を望みます。 (1998年9月) [REFERENCE] 文部省 学習指導要領
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私たちの発見したアポトーシス調節因子のほとんどは、いわゆる、同時報告のために複数の名前を持っています。別に私のものだけではな
く、ホットな領域では因子の発見はほぼ同時になることが多く、重要な因子であればあるほど、複数の名前を持つこととなります。これは研究に新規参入する者
にとってたいへん不便なばかりか、私の因子の場合、まだ総説が存在しないので、いちいち全ての論文を引用することとなりました。それで、ここらで名前を統
一した方がいいのではないか、と考えています。かつてNa,K-ATPaseやTRAF,caspaseで番号制度が導入され、あのたいへん複雑だった名
前がたいへんすっきりしました。最近、Bcl-2ファミリーの実際に命名を統一しましょう、というデータベース関係の人からコンタクトがありました。私も
Hrkの場合、まさか最終的に「は
らきり」になるなど思っていなかったので、たいへんうれしかったです。ところが、聞けばHrkはBid3になるといいます。うーん、BH3-3な
らわかるけど、BidとHrkは構造的も細胞局在性も異なるから、これはちょっといただけないですねぇ。次に問題になるのはBax,Bakなどのアポトー
シス誘発性Bcl-2ファミリーにはBH4領域がないと主張するグループがあり、これが分類に支障をきたしました。また、最近のNCBIのOMIM分類を見るとがっくりくるものがあります。なん
でFas
がTNFRSF6だあ?TNFRSF4
がOX40とかCARD-CONTAINING
ICE-ASSOCIATED KINASEがRICKだとか気がつくまでずいぶん時間がかかりました。
さらに番号制にはかなり大きな問題があります。Smadで特に顕著ですが、caspase-??という名前で論文を通している間に同じ 番号の遺伝子が報告されてしまうのです。ちなみに米国の全ての通りには名前がついており、住所がたいへん覚えやすいです。また、日本の戸籍法でも子供の名 前を番号で呼ぶことを禁じています。CAD,ICADはDFF40,DFF45に比べていい名前だと思います。なぜなら両者のサイズは生物種が変われば分 子のサイズも変わってくるはずですから、CAD/ICADの方がだんぜんいいです。ただ、やはり一番最初に報告したグループはDFFxxと呼んでいるの で、彼らが認めないことには・・・。それはそうと、ICADよりもiCADの 方がiMACみたいでかっこいいと思います。
かつて、MORT1とFADDが
同じ報告されて、後にFADDが優勢になったように時間に任せてみるというのもいいのではないか、とも思えます。しかし、CLARPの
別名、cFLIPが
メジャーになりつつある傾向にはちょっと疑問を感じます。というのもCasper,CLARPな
どの報告にあるように同タンパク質はアポトーシス誘発能力があり、キャスパーゼ様ドメイン(CLD)のないvFLIPとは機能的に異なっています。同タン
パク質をコードする同一遺伝子から選択スプライシングによってできるCLDなしのものについては、おそらく誰もがcFLIPと呼ぶのに抵抗を感じないで
しょうが。私自身はCasperでもいいかな、と思っています。一番最初だし、なんといってもかわいい名前だからです。学会で一部の先生に
その話をしたところ、「いや、うちのが一番」と主張されて「うっ」とつまって
しまいました。次にMtdの
別名Bokで
すが、我々の論文で示したように決して卵巣特異的タンパク質ではないので、これもいただけません。RICKの
別名、
CARDIAKについても我々はICEとの結合を見出せないので、これもどうかと思っています。ただ、DCP2などの謙虚な名前は逆に二番煎じ風
で、「ゴミムシモドキ」や「ニセイワシ」のようなものを感じるのは私だけ?
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最近、Bcl-2ファミリーのりん酸化の論文がいくつか出ています。ご存じのようにBcl-xLはSDS電気泳動でりん
酸化されなくとも電気泳動で数本のバンドとして出ます。出なかったりもします。これは脱アミド化によるものです。これをコントロールとの比較で除いた場合
を考えて、Bcl-xLのような小さくて標準的なタンパク質がりん酸化されてシフトしないはずがありません。ところが、組織のウェスタンブロットでりん酸
化に対応するシフトが見えた覚えがありません。本当にBcl-xLのりん酸化は生理的に重要なのでしょうか?Bcl-2やキャスパーゼのりん酸化について
も言えることですが、本当に有意な量だけ生理的条件でりん酸化されているのでしょうか?また、それによって誘導される抗アポトーシス活性の変化は本当に生
理的に有意なものなのでしょうか?キャスパーゼなどによるスプライシングについてもいえます。スプライシングされるBcl-xLやCed-9の量は本当に
生理的に有意なのでしょうか? (1998年9月)
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電子レンジはタッチパネルが多く、しかも液晶パネルなので、数字入力に時間がかかる。そこで、如何に少ない手順で事を足せるかを考察
した。例えば1分30秒のあたための場合、明らかに「90秒」と入力した方が早く入力できる。なぜなら、手数が2手であり、しかも9と0は隣あっているか
らである。また、1分,1分30秒,2分という感覚で入力すると「1:00」「2:00」と時間がかかる。次に、注目したのが、「1分11秒」「2分22
秒」・・・である。手数は3手と同じであるが、同じパネルなので高速で入力できる。最期に、繰り返し電子レンジを使用する場合、毎回一々時間を入力するの
ではなく、途中でドアを開けて、強制中断した後、次のサンプルを入れて、再開するというテクニックである。これらの方法で、反復度の高い電子レンジで「チ
ン」の処理をより高速で行えるようになる。この結果については近々"Journal
of Denshi-renji"(J.Den. Ren.)に報告する予定である。
なお、私はこの過程で、電子レンジは「90秒」という数値を受け付けるだけではなく「99分99秒」という、日頃の感覚だとちょっと計算しにくい数字も受
け付けることを見出した。このことについても別の機会に報告したい。 (1998年9月。ちなみに電子レンジは英語でMirowaveでElectoric Rangeじゃないです) |
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蛋白質間の相互作用を検討する方法として共免疫沈降実験(IP)という方法があります。蛋白質AとBを培養細胞で発現
させ、蛋白質Aに結合する抗体で免疫沈降させ蛋白質Bに結合する抗体で、BがAとともに沈降したかどうかをみる、というものです。私の場合、通常新規蛋白
質を対象にしていますので、読み枠にタグをつけて、市販のタグ抗体を用いてこの手の実験を行っています。ところが・・・・・ 今や、アポトーシス調節因子は膨大な数となってしまいました。キャスパーゼだけで10種類以上、Bcl-2ファミリーや他のキャスパーゼ調節因子も同様で す。コントロールを兼ねて全ての因子と総当りをやるので、有に100サンプルを超えてしまいます。酵母のTwo Hybrid法も併用していますが、こちらは生理的条件以下の親和性(μM)でも検出できてしまうし、転写調節因子と似た領域、たとえば酸性アミノ酸残基 続いた領域があれば両者が結合しているようなデータが出てしまいます。 そこで、ぜひ業者さん、以下の装置を作ってください。名づけて「マイクロIP装置」! マイクロアレイってみなさんご存知でしょう。そう、ドットハイブリダイゼーションをどかーっとやるやつです。このIP版を作るってわけ です。ELISAの好感度版だと思ってもらえればいいです。
(1998年9月) 上記のプロトタイプのようなものがScience(だっけ?)に報告されました!でも残念なことにブロットなのでどこまで結合を信じて
いいのか、わかりません。おそらくtwo
hybrid system程度の特異性と見ていいのではないかと思いますが。 |
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内容 | 誰の? |
独 創的研究とは | 日本免疫学会の人 |
科研費制度改革に関し ての提言 | 動物学将来推進計 画委員会 |
ポ スドク・大学院生の処遇や研究環境に関する問題点や提案 | 動物学将来推進計 画委員会 |
大 学審議会の議事要旨 | 大学審議会(審 議しているのはこんな人) |
歯学 部教授選考をめぐって | 広島大学広報委員会 |
大 学等におけるバイオサイエンス研究の推進について | 学術審議会特定研究領域推進分科会バイオサイエンス部会 1999/06/17 答申 |